墓が遠い場合は移転(墓じまい&改葬)を検討!費用は?手続きをリアルに紹介!

亡くなった家族や親せきのお墓が遠くてなかなかお参りに行けない。

なかなか目が届かないので管理するのに不便だと感じる。

そんな問題を抱えた人が最近墓じまい(改葬)をしているそうです。

我が家もそんな悩みを抱えていました。

そこで今春、実際に墓じまい(改葬)を決意!

実際の経験を通して感じたこと、費用、手続きなどのリアルな体験をご紹介していきます。

 

お墓の引っ越し(墓じまい&改葬)の一般的な費用は?

f:id:mpeaching:20210912150224p:plain



移転元で発生する費用

 

①墓石の撤去、処分、区画整備の費用

 

墓石の撤去、処分に掛かる費用は一般的に1㎡あたり10万~20万円が相場と言われています。

 

墓石を撤去した後は、その土地を更地にして返還します。

そのための区画整備が必要になりますが一般的に5万~20万円ほどと言われています。

 

ただし墓石の大きさや素材、作業する場所が狭くて重機が入れない場合、日数を要する場合は費用がさらに膨らむ場合があります。

 

事前の見積もりをしっかりと出してもらい、双方が納得しないと後々トラブルになることもあるので、注意が必要です。

 

 

離壇料(お寺の檀家だった場合)

離壇料とは今までお寺と檀家という関係を解消する際にお寺に"お布施"という名目で渡すものです。

お寺が離壇料を決める権限はないので、地域性や長年に渡るお付き合いの深さ等で決めると良いでしょう。

基本的に法要の際に包むお金と同等(数万円程度)と考えて良いです。

 

 

④閉眼供養(お性根抜き)のお布施

お墓を閉じたり遺骨を取り出す際、入られているご先祖様の魂を鎮めて魂を抜き取り儀式である閉眼供養(お性根抜きとも呼ばれます)を行う際、僧侶に読経してもらう必要があります。

その際、お布施として1万~3万円ほど包むのが一般的です。

 

⑤必要書類の発行手数料

今までのお墓を離れるにあたって、お寺や霊園の管理事務所に「埋葬証明証」を発行してもらいます。

これはそのお寺や霊園によって費用が異なります。

1通あたり300~1,500円という金額が多いようですが、収められている遺骨の数量分だけ掛かります。

 

 

移転先で発生する費用

 

お墓の引っ越し先では一般的にこのような費用が掛かります。

 

①新しく建てる墓石代

前のお墓から連れて来られた遺骨は、新しいお墓に納められます。

一口でお墓と言っても、大きさ・形・石の種類・彫刻・デザイン・塔婆建ての有無などで費用が何十万と差が出ます。

(お寺や霊園によってお墓の種類や取り扱う石材などが限られていることもあるので、住職や担当者に確認しましょう)

 

一般的な相場としては100万~350万円程度と言われていますが、お墓にどこまで費用をかけられるか、購入前にしっかりと考えておく必要があります。

 

これからずっとお付き合いするお墓なので、できればご家族や親せきの意見も聞きながら進めるのが理想ですね。

 

②永代使用料

永代使用料はお墓を立てる霊園やお寺によって金額に幅があります。

全国的な平均額は68万円です。

 

③お布施

新しいお墓に納骨をする際、僧侶に読経してもらうことを「魂入れ(お性根入れ」と言います。

そこで僧侶に対しお布施を渡します。

一般的な相場は1万~3万円です。

 

④事務手数料

霊園やお寺によって異なりますが、相場は数千円程度です。

 

実際にお墓の引っ越しをしてきた!体験談を紹介

 

f:id:mpeaching:20210912145517p:plain

 

次に実際にお墓の引っ越し(改葬)の体験をご紹介したいと思います。

 

墓じまいをする前の状況

  • 場所...実家から車で約1時間、公共交通機関を使うとバス・電車乗り換えで約2時間ほど
  • お墓参りの頻度...年3回
  • お墓を管理する人...主に実母

 

墓じまい(改葬)を考えたきっかけ

 

きっかけは2つあります。

 

理由①お墓の老朽化

実家のお墓は戦死した祖父(遺骨なし)、祖母の遺骨が安置されていました。

築66年のお墓は老朽化しており、墓石の隙間から雨水の侵入、お墓の周りの柵が一部崩れている状態でした。

一般的に墓石の寿命は50年くらいだそうです。

もう大幅に過ぎていますし、明らかに見栄えが良くない状態でした。

また墓石が崩れて通行人や他のお墓へ迷惑をかけてしまうことも考え、そろそろお墓の立て直しが必要ではないかと数年前から家族の間で話題になっていました。

 

理由②お墓が遠くて、お墓参りに行くのが大変!

 

私が子どもの頃は家族揃ってお墓参りに行った後、そのままお寺の近くの海に遊びに行くのがお決まりのコースでした。

親戚も住んでいましたしね。

でも私やきょうだいたちが巣立ち、高齢になった両親が年に数回のお墓参りに行くことは年を追うごとに負担となっていました。

特に父が車の免許を返納してからは、なおさらです。

 

そのうち墓地の近くにいた親戚も亡くなり、街との縁も薄れていきました。

そんな風にお墓だけが遠い場所にあることの意味があるのか?と考えるようになったのです。

 


 

はじめにしたこと

 

お墓参りに行くのが大変、お墓が古くなったからお墓を作り直したい。

そう思っても、人生で何度も経験することではありませんよね。

一体何から手を付けたらいいのか、費用はいくら掛かるのか。

全く知らないところからスタートしました。

そこでまず、インターネットでの情報収集から始めました。

 

調べてみるとお墓を引っ越しは、とにかく移転先のお墓を用意しないことには何も始まらないことを知ります。

そして実家から徒歩5分という近所の霊園を訪ねることにしました。

霊園の担当者に墓じまいの一連の流れを聞き、お墓を近くにすることのメリットを感じた私たちは、新しいお墓の購入に向けていよいよ動き出すことに。

売り出し中の区画から希望の場所を決め、墓石の種類、彫刻、塔婆建ての有無など細かいことを決めます。

いや、今はお墓って本当に色々なデザインや種類があるんですねー。

特に「コレじゃなきゃ!」ってこだわりもなかったのですが、実際にお話を聞くとかなり迷ってしまい、結局デザイン決定まで3週間も掛かりました。

 

お墓の注文を済ませ、次は今までのお墓があるお寺に離壇し、お墓を移すことを伝えなければいけません。

母にとってここが一番気が重いところだったようです。

その理由は

  • 「長年お付き合いのあったお寺へ離壇することを伝えるのが心苦しい」
  • 「離壇料をいくら請求されるのか」

ということでしょう。

 

先祖から引き継いだお墓を守っていく中では檀家さんの置かれている環境や引き継ぐ家族の問題でこういったケースは多々あると思うのですが、実際にお世話になったお寺には言いづらいですよねー。

 

ですが、今までお世話になった感謝の気持ちを伝えつつ、離壇・お墓の引っ越しを申し出したところ、快く了承して頂けました。

母としてはずいぶんホッとしたことでしょう。

 

そして離壇料として10万円を支払うこととなりました。

同時にここに遺骨が納められていることを証明する「埋葬証明書」を発行してもらいます。

 

次にお墓のある市区町村の役場へ「改葬許可申請」を提出し、「改葬許可証」を発行してもらいました。

 

それをお寺に提出し、お墓から遺骨を取り出すことができるようになります。

 

次に遺骨のあった墓地を更地の状態でお寺に返還するため、石材店との交渉です。

(お寺さんと長年に渡ってお付き合いのある石材店にお願いするのが一般的です)

 

一般的な相場は5万~20万円ほどですが、ここの墓地は入口が狭くて重機が中に入っていけないため手作業になること、日数が掛かることから66万円も掛かってしまいました。

 

これは結構な痛手ですが、他の石材店にも相見積もりを取ったところほぼ同額だったため、もともとお付き合いのあった石材店にお願いすることに。

 

それから古いお墓を供養の対象から外すための法要である「閉眼供養(魂抜き)」を行い、後日石材店によって遺骨を取り出し、墓地を更地にしてもらいました。

 

取り出した遺骨は新しい霊園に到着。

新しいお墓への納骨「開眼供養」を行い、無事に新しいお墓へ納められました。

これで墓じまい(改葬)の一連の流れはおしまいです。

 


 

リアルな費用をまとめると墓じまい(改葬)には

  • 新しいお墓代...250万円
  • 離壇料...10万円
  • 古いお墓の解体、区画整備代...66万
  • その他(お布施・事務手数料など)...10万円

                        合計 336万円

 

土地柄やお墓など様々な要素で金額は大きく変わるので、あくまで一例として参考にして下さい。

 

墓じまい(改葬)の一般的な流れをおさらい

f:id:mpeaching:20210912150329p:plainこのようにお墓の引っ越しの際、費用は二か所で発生することが分かります。

  1. 移転元である現在のお墓で発生する費用
  2. 移転先である今後もお墓で発生する費用

 

 

お墓の引っ越し(改葬)の一般的な流れをおさらい

 

①移転先の新しい墓地を決定する

 

②移転先の墓地から「受入証明書(改葬許可書」を発行してもらう

 

③旧墓地がある市町村の役所から「改葬許可申請書」をもらう(自治体によってはネットで取り寄せ可能)

 

④「改葬許可書」に必要事項を記入し、旧墓地の管理者より署名・捺印をもらう

 

⑤「改葬許可申請書」と移転先からもらった「受入証明書(改葬許可書)」もしくは「永代使用許可証」を旧墓地の市区町村の役所に提出、「改葬許可証」を発行してもらう

 

⑥移転先の墓地に「永代使用許可証」・「改葬許可証」を提出し、納骨

これだけ見ると「何だか大変そう」と思われる方も多いかもしれません。

証明書を発行してもらったり、役所に提出したりと手間が掛かるのは確かです。

ですが、一部の証明書はネットで取れますし、やりとりは電話やFAX、郵送で出来ることも多いですよ。

 

 

墓じまい(改葬)はメリットが大きかった!

f:id:mpeaching:20210912150525p:plain

こんなにお金を掛けたり、面倒な手続きを経たりしても墓じまい(改葬)をしたことで生まれたメリットはとても大きかったです。

 

例えば・・・

  • 片道2時間のお墓参りが徒歩5分に!
  • 今までお墓参りの度に支払っていた高額のお布施→年間管理費6,000円のみに
  • 行きたい時にお墓参りができる手軽さ
  • 子ども、孫世代にお墓管理の負担を軽減できたこと
  • 将来、お墓の継承者がいなくなっても永代供養に切り替えられる

 

先祖代々から続くお墓を動かすこと、費用も高額で手間も掛かること。

なかなか墓じまい(改葬)を決断することは勇気がいることだと思います。

でも大切な人たちが眠っているお墓が残された人たちの負担になってしまうことはどうでしょうか。

 

生きている人たちが負担を感じずに、いつでもお参りできる環境を整えるためのひとつの手段として墓じまい(改葬)があります。

これを読んで墓じまい(改葬)について、知識を深めて頂ければ嬉しいです。